コンサルタントをしている友人の話、
ものつくりの世界では、プロダクトアウトか、
マーケットインの発想か?とよく論じられます。
友人が主催する後継者を集めた勉強会で、
会員達も東日本大震災の被災者に
何かをしてあげようということになりました。
会員の中にパン屋さんがいれば
店のパンを40万円分持ってゆくという人もいます。
洋服やさんは、お店の商品を持ってゆくという人もいます。
しかし、よく考えてみればそれらは、
すでに充足しているのかもしれません。
そこで彼らは、実際に被災者に対し何が出来るのか?
何を欲しがっているのか?を現地に赴いて
尋ねてみることにしました。
結果、現段階では、何かを提供して欲しいというよりは、
彼らのしたいことをサポートしてあげることが
最良の手助けになることに気がつきました。
彼ら会員の面々は、多種多様な
業種の集まりであり、自分ができなくても
それを実行できる人脈を持っているのです。
さて、ここからコンサルタントの話になります。
被災地にも、飲食業を営んでいた人がたくさんいました。
地元の飲食業組合には、30件も所属していました。
しかし、営業できるところは、わずか5件しか
残っていなかったそうです。
じっくり話を聞いてみると、
店を失ってしまった人たちも、もう一度、
飲食店を再開したいという強い希望が持っていました。
コンサルタントの友人は、彼らの再起を図るため、
飲食店の復興屋台村を立ち上げる事を提案。
無償にて、活動を支援しました。
運営の為の組織を作り、規約作りから始めます。
東京に住む彼は、一月のうち3日現地に足を運び、
その活動に費やしました。
そのうち、飲食店の経営者達から
無償ではなくて、もし利益が出るようになったら
正式にコンサルタントとしてフィーを払わせて欲しい、
そして、これからも面倒を見てほしい
と申し出があったそうです。
本人にとっても予想外の展開でした。
その事例を通して、コンサルタントは、
本来の商売のあり方をもう一度、
見直すきっかけになったと言います。
つまり、こちらが一方的に、
こんないいものがあります。
こんないいものが出来ました。
これが必要でしょうと持ち込んだところで
果たして、それは、本当に受け入れられるのだろうか。
ひょっとして自己満足に過ぎないのかもしれない。
相手が本当にして欲しい、手にしたいものであれば
相手は、対価を支払ってでも
お願いしてくるものかもしれない。
商売とは、本来そういうものであったはずだ。
それが、いつのまにか
変質してしまったのかもしれません。
コンサルタントの友人は、
被災地へのボランティアを通して、
商売の本質をもう一度見つめなおす
ことが出来たという話です。
身につまされる話でもあります。